出張買取の途中で寄ったファミレスに、具合の悪そうなおじいさんがいた。食べているものが詰まったような感じでむせている。見ていると、よだれをたらし始めた。
しばらくしても、改善しないようなので、女性店員(ショートカット、30歳ぐらい)に声を掛けたのだが、毎日来るお客さんでいつものことだという返事だ。しかし、状態はどんどん悪化して、よだれよりもかなり大量の液体を吐きだし始めた。まだあまり食べていないようで、嘔吐というよりも胃液かなにかだと思うが、服の襟もとが濡れるくらいには吐いた。
お爺さんの席と、私の席との間は5席ぐらい離れていたのだが、一つ近い席の女性が見かねて、他の店員(ロング、20代後半)に声を掛けた。斜めの位置になっているのでよく見えるのだ。
ロングの店員はすぐ飛んできて、お爺さんの胸元に缶のようなものをあてがって、背中をさすった。ナプキンで首や胸元をぬぐってやる。その間も、ずっとニコニコと話しかけて、お爺さんは何か答えていた。
やっと安心して食事ができるなと思った頃、注文の「コラーゲンスペシャル」が配膳された。しかし、肉が暖まっていなくて、中心が氷っている。私は短髪のウエイトレスを呼んで、取り替えてもらった。2人しかいないホール係のうち1人がお爺さんにかかり切りになってしまったのでいそがしいのだろう。、厨房からコック服の男が出て、手伝っている。
ロングの店員はずっとお爺さんを励ましている。お客のうち看護の心得のありそうな人が、ちょっと様子を見たりしていた。いつのまにか、飲みかけのワインがあった。お爺さんが要求したものであろうか。結局、料理には手を付けず、お爺さんは帰ることになったようだ。店員が一緒について店を出て行った。
毎日来るという人だ、きっと近所に住んでいるのであろう。あるいは家まで送るということも、今までにも何度かあったのかもしれない。住宅地にあるファミレスだから、常連の客は大切なのに違いない。
しかし、10分ほどして店員は走って戻ってきた。怒ったような顔をしている。レジにいた店長に何事か話しかけると、二人して出ていった。
我われは、食事を終えお茶も飲んだので、お店を出た。駐車場の前を救急車が走り去っていった。店長とロングの店員が戻ってくるところだった。縛っていた髪がほどけ、憔悴したよう様子である。
お爺さんは救急車で運ばれたそうだ。様子がおかしいとは思ったが、救急車が必要なようには見えなかった。20分前には立って歩いていたのだ。
出張買取は3件。江戸落語の本など文庫が主で700冊など。
店に戻ると岡崎武志さんがいらしていた。「ほん吉」の話などをする。
今朝の体重55.3kg